
はじめに
総務省「労働力調査(2023年)」によると、日本の共働き世帯はは体の約75%を占めていると報告されています。いまや共働き世帯は、暮らしの主流であり、社会の多数派となりました。(下記グラフ参照)
「モノからコトへ」──その消費行動の変化は、共働きの家庭内にも広がっています。
かつて「コト消費」といえば、レジャーや外食など“外での体験”が中心でしたが、今では、料理の外注や片づけ代行、宅配食、サブスク家電など、“家庭内の体験”を価値とする選択が広がりを見せています。
その背景には、共働き世帯を中心とした「暮らしの質」を高めたいというニーズがあります。
家事代行プラットフォーム「タスカジ」には、13万人超の利用者と4,000人超のハウスキーパーが登録。日々のやりとりを通じて、リアルな生活実態に即した定性的・定量的データが蓄積されています。
「料理を外注したら、子どもと向き合う時間が増えた」
「片づいた部屋で過ごすと、夫婦の会話が増えた」
モノでは得られない“体験価値”が、家の中で確かに生まれています。
共働き世帯と専業主婦世帯の推移(妻が64歳以下の世帯)
出典:総務省「労働力調査(詳細集計)」(総務省統計局)
共働き世帯における「暮らしの再設計」
共働き世帯の間では、「暮らしの再設計」という意識が広がりつつあります。単なる効率化ではなく、家庭内のリソース(時間・労力・判断)をどのように再配分するかという視点で、生活全体の見直しが進んでいます。
タスカジのユーザーである30〜40代の共働き家庭では、家事代行の利用に加え、例えば冷凍宅食、宅配クリーニング、外部収納サービス、サブスク家電といった“家のナカサービス”や、ロボット掃除機をはじめとしたIoT家電などを積極的に活用するケースが増えています。
これらは「時間を買う」という発想を超えて、子どもとの会話や自分の休息といった“余白”をどう設計するかという意識の表れです。
こうした動きは個人レベルにとどまらず、官民が連携した制度設計の検討も進みつつあります。2024年には経済産業省の『家事支援サービス福利厚生導入実証事業』が行われるなど、企業や自治体による新たな仕組みの生活支援が始まりつつあります。掃除・料理といった家事代行に限らず、さまざまな生活支援の形が“贅沢”ではなく“合理的な生活基盤”として再評価されつつあります。
▼参考記事
タスカジ、経済産業省『家事支援サービス福利厚生導入実証事業』に採択!8社が福利厚生にタスカジを導入し、働き方改革を加速 | 株式会社タスカジ
家ナカの変化を誰が先に捉えているのか?
家の中の“体験価値”を誰よりも早く見抜き、取り入れているのが、タスカジのユーザー層です。彼らは新しいものに敏感で、自ら試し、他者に共有する姿勢を持つという点で、まさにイノベーター理論におけるアーリーアダプターに重なります。
アーリーアダプターは市場全体の13.5%とされていますが、決して単なる少数派ではありません。むしろ、新しい市場を切り開くうえで最も影響力を持つ層であり、彼らに届き、共感を得ることが次の市場拡大の起点となります。
実際、タスカジのユーザーは、家事代行のような「暮らしの内側に関与し、導入のハードルも高く感じられがちなサービス」をいち早く取り入れ、その体験を自らの言葉で発信しています。こうした行動は、単なる早期採用にとどまらず、生活様式のアップデートを先導し、家ナカ領域における新しいサービスや商品の市場形成やムーブメントの立ち上げを担う“橋渡し役”として、次の層への波及を加速させる重要な役割を果たしています。
そして今、このアーリーアダプター層は“キャズム”を越え、より慎重な大衆層に広がりが波及し始めています。企業にとってはまさに、この拡大フェーズに入るいまこそが、次の成長を仕掛ける絶好のタイミングであるといえます。
アーリーアダプターを起点に、企業は何をすべきか?
新しい商品やサービスを市場に浸透させるには、大衆より先に“感度の高い生活者”を見極める必要があります。 それがアーリーアダプターです。
1. 本質を見抜く「目利き層」
アーリーアダプターは、単なる“新しもの好き”ではありません。 「これはなぜ必要か」「生活にどう影響するか」といった視点で本質を見極めようとする姿勢を持っており、キャズムを越えて広がるかどうかを占う“初期の評価軸”として、重要な役割を果たします。
2. キャズムを越える“起点”
アーリーアダプターに評価されることで、より慎重なアーリーマジョリティ層(市場全体の34%)にも波及効果が生まれます。アーリーアダプター(13.5%)が火種となって拡がる商品やサービスは、いわゆる“キャズム”を超えることで一気にメインストリームへと浸透していきます。 「誰が使っているか」「どう評価されているか」は、次の層にとって極めて重要な判断材料であり、この段階で支持を得られるかどうかが市場成功の分岐点となります。
3. 共創できる“発信パートナー”
アーリーアダプターは、体験価値を自分の言葉で語る力を持っています。実際に生活の中で感じたことを「うちはこう使っている」「これで子どもが初めて完食した」といった具体的なストーリーとして共有することで、商品やサービスの価値が他の生活者にも伝わりやすくなります。こうしたリアルな声は、企業にとって共感を生むマーケティングの起点となります。
タスカジ研究所の提供価値
タスカジ研究所は、家庭という“暮らしの現場”に深く入り込み、生活者の選択や行動の背景を、観察とデータの両面から丁寧にひも解いています。
注目すべきは、タスカジのユーザー層が、前述の「アーリーアダプター」の“縮図”であるという点です。家事代行や家ナカサービスといった新しい生活サービスをいち早く実生活に取り入れ、自らの言葉で発信する──そうした行動が、市場の変化や新たな価値観の萌芽を示しています。
このような生活者の自発的な選択のプロセスを継続的に観察できることは、企業にとって「次に求められる価値や行動」を見極めるうえで、他にない優位性をもたらします。
多くの調査が設計された設問の範囲内で回答を得るのに対し、タスカジ研究所では、ユーザーとハウスキーパーの間で日々交わされるやりとりから、自然発生的に生まれた“暮らしの記録”が蓄積されています。タスカジ研究所が提供するのは、リアルな生活者の判断や変化のプロセスに根ざした“実感のあるインサイト”です。日常の流れの中で繰り返される判断や行動の記録から導きだされるものであり、一般的なリサーチサービスでは得られない気づきや兆しを捉えることができます。
おわりに
家庭内の消費行動は、いまや新たな市場の起点として注目を集めています。
効率や時短といった目的を超え、家族との時間や暮らしの質を見直す動きが、生活者のあいだで着実に広がりつつあります。
その変化の兆しは、サービスの機能や価格だけではなく、「誰が使い、どう語っているか」「実際にどんな変化が起きたのか」といった文脈に宿ります。つまり、選ばれる理由はスペックではなく、暮らしのなかで“機能している実感”にあります。
本コラムで見てきたように、感度の高い生活者の声や行動からは、次に支持されるサービスや価値観のヒントが見えてきます。
一つひとつの選択や発信の背景にある「生活のリアル」こそが、今後のマーケットを読み解くカギになるはずです。
生活の変化に目を凝らし、感度の高い生活者の言葉と行動から兆しを掴むこと。そこに、これからの市場づくりの出発点があると、タスカジ研究所は考えています。
【タスカジ研究所】について
株式会社タスカジの法人向けソリューション事業「タスカジ研究所」では、住宅、家電、食品、消費財などさまざまな分野の企業様に対して、インサイト調査やサンプリングなど、プラットフォームに蓄積されたデータや情報、家の中における生活行動の分析や、タスカジさんコミュニティを活用したマーケティング・プロモーションの支援を行なっています。
タスカジ研究所:https://corp.taskaji.jp/services/taskaji-kenkyujo/
<協賛・協業等に関する連絡先>
タスカジ研究所
担当:武石(たけいし)
Tel:070-3323-6807
E-mail:taskaji-lab@taskaji.jp
<本件に関する報道関係者からのお問い合わせ先>
こちらのお問い合わせフォームから、広報担当までご連絡ください。
■家事代行マッチングプラットフォーム「タスカジ」について
(https://taskaji.jp)
多彩な家事スキルを活かして働くハウスキーパー(タスカジさん)と、家事をお願いしたい人とをつなぐ、シェアリングエコノミーの家事代行マッチングサービスです。家庭内の家事負担が女性に偏っていることが理由で、望む人生やキャリアを築くのが難しいという、日本中の多くの女性が抱える社会課題を解決するために立ち上げました。2014年のサービスリリース以来、一貫して家庭のあらゆる家事の課題解決をサポートしており、培った知見をもとに「家事はクリエイティブな仕事である」ことを発信するなど、「家事代行は高価、家事は単純作業」という旧来型の家事意識の改革にも取り組んでいます。また、コミュニティを活性化することによりサービスの質を向上させる「コミュニティ循環型サービス運営モデル」の先駆けにもなっています。利用者数10万名以上。日経DUAL家事代行サービス企業ランキング20171位、日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2018 働き方改革サポート賞。
■株式会社タスカジについて
社 名 : 株式会社タスカジ
設 立 : 2013年11月6日
代表者 : 代表取締役 和田幸子
所在地 : 東京都港区芝2-26-1 iSmartビル301
事業内容: 家事代行マッチングプラットフォーム「タスカジ」の運営
URL : https://corp.taskaji.jp